ありさの言葉に、胸をキュッと掴まれたような気がした。


「夏樹君、なんだかイキイキしてすごく楽しそう。
あんな顔をする夏樹君を久しぶりに見たわ」


僕は口をつぐんだまま、ちらっとあの二人を見た。


夏樹は、由梨ちゃんが座っている椅子の背もたれに手をかけている。


こうして見るとカップルに見えなくもなくて、なんだか胸が苦しくなった。


お店で会った時、夏樹は由梨ちゃんにひどく冷たく接していたように見えたけれど、今日の二人のやりとりはやけに自然だ。


僕は、夏樹の女性関係がどうなっているかなんて知らない。


大学の頃の共通の友達が言うには相変わらずモテていて、女性のアプローチが絶えないらしいけれど。


ありさ以外の女性には全く優しくない夏樹だから、女の子とは適当に遊んでいるんだと思うんだけど、由梨ちゃんに対しては?


従業員には手を出さないと言っていたけれど。


大体買い物って、夏樹の店には他にも従業員が大勢いるのに、どうして由梨ちゃんだけを誘うんだろう。


彼女が仕事が良く出来るからだとしても、こんなふうに休日二人で出歩いてなんて欲しくない。


由梨ちゃんと話がしたい。


だけど、夏樹が僕の気持ちに気づいている以上、気軽に話しかけることも出来ない。


どうしたらいいんだろう。


ゲームはその後、順調に進んでとりあえず終わった。


1位は夏樹。由梨ちゃんは女の子とは思えないほどのスコアを叩き出し、わずかな差で2位となった。


僕はいたって男性の平均的なスコアを出し、ありさはまぁいつものことながら50にも手が届かなかった。