僕達はありさの強引な誘いに乗って、4人でボウリング場に足を運んだ。


今日は平日のせいか人も少なくて、僕とありさは隣のレーンの椅子にゆったりと座らせてもらった。


僕の向かいの椅子に腰掛けて、由梨ちゃんはシューズに履き替えている。


由梨ちゃんは今日、以前僕と一緒に買ったショートパンツを履いている。


僕と一緒に買ったものを夏樹の前で履くなんて、なんだか複雑な気持ちだった。


そりゃいつ履いたって構わないんだけれど、夏樹の前なのが少し気に入らなかった。


それにしても、ありさはどうしてボウリングをしたいなんて言い出したんだろう。


でもどんな形であれ由梨ちゃんと一緒にいたいから、少しだけありさに感謝してしまった。


「じゃあ早速始めるか」


そう言って夏樹が一投目を投げる。


その球は見事ヘッドピンに当たり、ストライクを出した。


笑顔で振り返る夏樹。


夏樹は学生の頃から、ボウリングが上手かった。


どうやらその腕はまだ落ちていないらしい。


続いて由梨ちゃんがレーンの前に立つ。


次の瞬間。


僕は由梨ちゃんに釘付けにされてしまった。


まるでプロボウラーのようなフォームで歩き出したかと思ったら。


由梨ちゃんの手から離れたそのボールはゆるく弧を描いて斜めからヘッドピンに当たり、見事ストライクを決めたのだった。


その一連の流れがあまりにかっこよくて綺麗で、僕もありさも夏樹でさえもその姿に見とれてしまった。