その後社長は、重いベッドや冷蔵庫を運ぶのを手伝ってくれたり、キッチン用品の荷解きを一緒にしてくれた。


一時的に暮らすだけだから、日常生活に特に必要のないものは、そのまま段ボールに入れておくことにした。


「これ、何入ってんだろなー」


そう言って、躊躇することなく私の衣装ケースを開ける社長。


「あっ、ちょっ、それはダメーーー!」


叫んだけど遅かった。


「へぇ、これがお前の下着か。色気ねぇなー。

何?これ。スポーツ用?」


そう言って、私のスポーツブラをつまみ上げる社長。


「もうっ、返してくださいよっ」


慌てて取り返して、衣装ケースにしまった。


くっそー、絶対わざとだ。


「お前、全然持ってねぇの?フリルがついたようなのとかさー」


うぅ~。


なんて答えればいいんだか。


「そんなんだから、色気がないんだよ。

何でこんなスポーツ系のモノばっか持ってんだよ」


私はふぅとため息をついた。


「あのー私、学校がスポーツ専攻だったんです。
これでも中学校の保健体育の二種免許状持ってるんですよ」


「え、マジ?」


ぎょっと目を見開く社長。


「毎日運動ばっかりしてたんで、それに適した下着が必要だったんです」


はぁ…。


なんでこんなこと説明しないといけないの?


「へぇ、それでか。でも卒業してんだし、もうこんなの着なくていいじゃん」


そりゃそうだけど。


ああいう下着って、なんだか買う勇気がない。


「まぁ、そのうち一緒に買いに行こう」


「は?」


「俺が選んでやる」


社長の言葉に一気に耳まで赤くなった。


「結構です!!!」