「あ、朝日さんっ」


『ん?どうしたの?』


「あの、あのですね。

わ、私っ。

朝日さんとありささんが別れるまで、朝日さんとは会いません……」


ひゃ~。


言っちゃったよーーー。


『えっ、どうして…?』


ど、どうしてって。


社長がそう言えって言うんですーーー。


社長がメモ用紙に何か書いている。


そのメモを私に見せる社長。


“二股なんてイヤですと言え”


なっ、なんてこと。


アホ社長ーーー。


「あ、あの。朝日さん。

い、今の状態って軽く二股ですよね」


軽くって何?


やだっ。


私ったら何言ってるんだろ。


「私、二股はイヤです……」


うぅぅ~。


こんなこと言いたくないのにーーー。


『二股だなんて、そんなつもりはないよ。

だって、僕の気持ちは由梨ちゃんにあるから。

でも今の状態って、確かにそうだね。

ありさと別れてないなら、二股だよね』


悲しそうな声を出す朝日さん。


うぅ~。


く、苦しいーーー。


『由梨ちゃん。

僕、ありさを頑張って説得するから。

だけど会えないなんて、そんなのつらいよ……』


朝日さん。


私もつらいです……。