「残念だが、そばにいるのはお前のためじゃない」


「え…?」


どういう意味…?


「ありさのためだ」


社長はそう言って目を閉じて。


そして、ゆっくりと瞼を上げた。


「ありさは、朝日を本当に愛してるんだ。

アイツ以外の男なんて、入り込む隙もないくらいにな」


社長の言葉に、胸がチクリと痛む。


「ありさの一番の幸せは、朝日と一緒になることだから。

俺はその幸せを守ってやりたい」


あぁ…。


社長はそこまでありささんを…。


「だから、お前と朝日にうまくいかれると困るんだ。

それを阻止するためなら、俺はなんだってするよ」


ギリリと奥歯を噛みしめる。


なんだか、頭が痛くなって来た。


その時だった。


私の制服のポケットから、ブーッブーッとバイブの音が聞こえて来た。


「あ、ちょっと失礼します」


そう言って、スマートフォンを取り出してみれば…。


画面に表示される『椎名朝日』の文字。


ま、まずい。


朝日さんからの電話だ。


ど、どどどーしよう!