「アイツらが別れるまで、俺がお前のそばにいてやる」


社長の言葉に驚いて、思わず咳き込んでしまった。


「おい、大丈夫か?」


だ、大丈夫なわけないでしょう?


息苦しくて、肩が上下してしまう。


「あ、あのー社長。

こんな事言うと怒るかもしれませんが、社長はありささんが好きなんですよね?

だったら今、チャンスなんじゃないんですか?」


私がそう言うと、社長は呆れたような顔をした。


「あのなあ、俺をそこらへんの男と一緒にするなよ」


「え…?」


社長はふぅとため息をついた。


「俺が今ありさを慰めたりするのは、弱みにつけ込むみたいだろ?

寂しさを埋める為だけの相手に俺はなりたくない。

俺は、アイツの気持ちが100%欲しいから」


トクンと心臓が音を立てる。


社長は、ありささんを本当に好きなんだ。


「あのー、社長がありささんを好きなのはよーくわかったんですけど、私と付き合うとおっしゃった意味がさっぱりわかりません」


はっきり言って全然わからない。


「わからない?」


「はい」


「そりゃそうだな」


そう言ってクスクス笑う社長。


やっぱり、からかわれてるんだ。


もうっ!


悪い冗談はやめて欲しい。