「私は、覚えてる。
優くんがくれたもの、全てを……」
覚えていられる自信がある。
優くんの声。
優くんの笑顔。
優くんとの思い出。
そして、
優くんがくれた、このノート。
「私は……ずっと覚えているから……。
心の中に、ずっと…。
だから、このノートを、優くんに持っていてほしい」
そう言って、私は優くんにノートを手渡した。
「……俺が、持ってるのか?」
「私はずっと、心の中で覚えている」
心の中で……。
心の音を、心のノートに……。
「わかった」
優くんはそう言うと、ニコッと笑って私の頭をなでてくれた。
そのとき、初めて見た優くんの涙は、
私だけしか知らない涙。
切ないくらいに、愛おしい涙だった。