古びたドアを開くとき。
懐かしい感覚と、これからの未来に、涙しそうになった。
思わず、片手に持っているノートを、ギュッと抱きしめる。
予測のできない壁が、私たちを待っているかもしれない。
それでも私たちは、向かわなければいけないのです。
明日に続く、未来へと ───……。
───ガラッ。
ドアを開ける。
「……優くん」
取り戻した声で、君に声をかけた。
私の想いを、待っていてくれた君に。
「……おかえり。花音」
…………優くん。
あなたに、ただいまと言えないのです。
「………優くん。
私、ちゃんとおばあちゃんと向き合えたよ」
「……うん。よかったな」
そのときの君の笑顔に、どれだけ私は胸が締め付けられただろう。
あなたに、伝えなくちゃいけないことがあって、
私はここまでやって来た。