しばらくして、

落ち着いた花音は、強く俺を見つめた。




「……私、間違えてた。
このままじゃ……だめ。

私は、まだおばあちゃんに伝えてない想いがある……」




「うん」




「……私、ちゃんと向き合ってくるね。

そして、安心させてあげられるように、
おばあちゃんに、笑ってくる……」





「……行ってこい」




…………俺が今、君にできること。




君の背中を押して……





「優くん。

私が……ちゃんと向き合って、強くなれたら……。

また……私の想い、聞いてくれる?」





……君の想いを。


君の言葉を。


君の音を……。





待っていることくらい。





「うん……」





「……また、空き教室に行くから……待っててね……」






そして彼女は、




俺の唇に、涙の味の、キスをした。