…………俺は、助けられないのか。
『花音ちゃんを助けられる優しさは……甘さじゃないよ』
佐倉の言葉に、ハッとする。
『三浦の本当の優しさで……』
俺の……本当の優しさ。
俺の優しさで、花音を抱きしめても、花音を守ることはできないんだ。
だってそれは、優しさじゃなく、甘さだから。
向き合おう。
ちゃんと、花音に今言いたいことを、ぶつけるんだ。
だって、たぶんそれが、
俺の本当の優しさで……
強さだから。
俺は捨てられたノートを手に取ると、未来予想図のページを見つめる。
「花音は、この未来を諦めるんだよな……」
声を出して、子供たちと歌うこと。
俺の隣に、ずっといること。
このページを諦めるのなら……。
もう花音に、想いも言葉も、
このノートも、必要ない。
─────ビリッ!!!
俺はためらいもなく、その未来予想図のページを破いた。