それと同時に、一歩前にでる。
「三浦を好きになれて、良かった。
早く行ってこい!!」
「佐倉!!サンキューな!!」
そうひとこと残して、
俺は前を向いて走り出した。
走れ……。走れっ!!
「優っ!!」
突然名前を呼ばれて、振り返る。
どうやら、体育館で部活をしていた涼太が、水を飲みにきていたらしい。
「どうしたんだよ?
そんな急いで!」
「俺、行ってくる」
行き先を告げなくても、
たぶん、お前には分かる。
だから、そう言って走り出そうとした。
その時……。
「俺のパートナーは、自分の想いも、他人の想いも大切にする人間!!」
背中越しに、涼太のそんな大きな声が聞こえて、思わず振り返った。
ピースサインをして、ニコニコ笑ってる涼太。
気持ち悪いやつ。
でも、俺はなぜだかその笑顔にいつも助けられるんだ。
「お前の想い、伝えてこい!!」
涼太のその言葉に、俺はピースサインを送ると、
また前を向いて走り出した。