「三浦って、名前の通り優しいよ。

でも、それで判断を間違えるなら、ただの甘い人だよ」



花音の声を取り戻すための、優しさ。


それは……。





「三浦なら大丈夫だよ。

なんだって、佐倉 真琴が好きになった男なんだから」



無邪気に笑う佐倉。


なんだよこいつ。


えらそーに。




「ははっ。心づえーな、それ」




「でしょ?ほら、早く行ってあげなよ」



「うん、そうするわ」





そう言って俺は立ち上がった。




「三浦なら、間に合う。

私からのお願い。
花音ちゃんに伝えて。まだ、三浦の話しようねって約束、守ってもらってないんだけどって!」



いつの間にそんな約束してたんだよ。

俺の恥ずかしい過去とか、ばらすなよな。


そう思ってると、佐倉も立ち上がった。




「当たり前だろ?
佐倉の想い、俺が伝えてやるよ。
なんだって、三浦 優さまだぜ?」



俺の声で、伝えてやる。



「意味わかんない。
調子にのんなっ」




そう言って佐倉は、バシッと強く、俺の背中を押した。