「優、花音ちゃんのとこ、行かないの?」
隣にいる涼太がそう言ってきた。
「行かないよ。俺はここで十分だ」
競技が終わり、クラスの奴らと笑いあっている花音を、
遠くで見ながらそう言っていた。
「ふーん。……優らしくないね」
涼太が俺と同じ視線の先を見ながら、ボソッとつぶやいたのを、聞き逃さなかった。
「は?」
「優はいつも、何があっても、花音ちゃんのところへ行ったじゃん。
……なんかあったの?」
なにかを見透かしたように、そう言うこいつ。
「別に……。ただ、花音にもう俺は必要いらないんだよ」
「は?なんだそれ?
花音ちゃんがそんなこと言ったのかよ?」
「違う。俺が、花音を困らせてる…。
そう思ったから…」
そう、花音は俺のせいで泣くんだ。
俺がいるから……。
「……はぁ〜。本当バカかよ。
俺のパートナーのくせに、しっかりしろよな!ホント!!」
えっ、涼太……どうした?