「沢田ー!!いけー!!」


「頑張れーっ!!」




みんなが大きな声で、沢田くんを応援する。



まるでそれに応えるように、沢田くんはすごいスピードで走っていく。







〝沢田くん!頑張れっ!!〟






声の力って不思議。



人を、強くする。









声が届いたのかは分からない。



でも、沢田くんのおかげで、私たちのクラスは1位になった。






競技が終わり、退場する。




「はぁっ。木崎、お疲れ!!
お前すげぇよ!めっちゃ速い!サンキューな!」




走り終えた沢田くんは、私のもとへ来てそう言ってきた。


そして、手のひらを見せる。



私はその手を見るなり、首を傾げた。



「ハイタッチ」



ニコッと笑う彼に、私はハッとして、手のひらを当てた。



──パンッ。



手のひらが重なった音が響く。