発した声はすでに震えていた。

少しでも強がろうと手をぎゅっと握る。





「でもね……それでも好きで、好きで仕方がないの…」

「うん」




自分でも笑っちゃうくらい弱々しい言葉を千堂くんはしっかりと聞き取ってくれる。









「何で、あんなこと聞いちゃったのかな…?傷付く可能性の方がずっと、ずっと高かったのに…」

「ーーあんな、こと?」





ずっと、頷くだけだった千堂くんが初めて聞き返してきた。

でもその声はやっぱり優しくて、言いたくなければ言わなくて良い、そんな風にも聞こえた。



でも、聞いてくれてるんだもん。

迷惑かけてるんだもん。



ちゃんと、言わなきゃ。






「26歳にとって、17は子どもで恋愛対象外ですか?って」

「……それで、矢野は?」






ずっと優しかった千堂くんの声が低くなった。

何かを堪えているような、自分の中の何かを殺しているような、そんな苦しそうな声だなって思った。