「何してるの……って、気味が悪いとか酷い」
少しでも話をそらそうと少し怒ったようにそう言うと、千堂くんは『悪い悪い』と笑った。
……この人、絶対に悪いとか思ってない。
「誰かさんの駆け込み寺として、開けておいたんだよ」
「駆け込み寺って……」
何だか、全て見透かされてる見たいで思わず顔を背ける。
トン、トン、トンと、近付いてくる足音。
「……何があった、阿波」
いつもより、ずっとずっと優しい声がさっきよりも近くで聞こえた。
視線を千堂くんに戻すと、何だか切なそうな笑みを浮かべた彼と目があう。
「話、聞いてやるから」
そしてそのまま私の定位置に座ると、また優しくそう言った。
何で、そんな顔をするの?
何で、そんな優しくするの?
甘えたくなってしまう。
すがりたくなってしまう。
「私がバカなだけなの、自分でも信じられないくらいにバカなの……」