「茜~、どうだった昨日は?」
次の日、教室に入った瞬間に私は物凄い笑顔の陽果に捕まった。
でもその顔はニコニコ、というよりもニヤニヤに近い気がする。
「……ど、どうだったって?」
「とぼけるき?そんなの許さないよ?」
何だか怖くて逃げようとしたけど、許さないと言わんばかりに腕をがっちりと掴まれてしまった。
陽果は笑ってるはずなのに、何故か纏うオーラが黒い。
「取り合えず、席についても良い?ほら、ここに立ってると邪魔でしょ??」
「あーもう、はいはい。分かりーー」
「おい、阿波」
全く納得したように見えないけど陽果が了承しようとしたのは、爽やかな朝には似つかわない不機嫌な低い声によって遮られた。
あくまでその声が誰か分かった上で私は恐る恐る振り返る。
「おはよ。どうだったんだ、昨日は」
「千堂、くん……」