ついにやって来た、放課後。
職員室の前にまで来たのはいいけれど、ヤバイくらいに緊張してきた。
胸に手を当て力一杯握りしめた。
ドクン、ドクン。
加速していく鼓動が、全身に響いていた。
ああ、どうしよう。
いつまでもこんなところ立ってても変だよね?
分かってるよ、分かってるけどさ……。
『頑張れ〜』って何とも呑気な見送りをしてくれた陽果を思い出す。
私、既にダメそうです。
もう緊張のしすぎで逃げ出したい。
「おう、阿波っ!」
「へぇっ!?」
聞き慣れた愛しい声が突然後ろから聞こえて、恥ずかしいほど間抜けな声が上がった。
……うわ、最悪。
穴があったら入りたいなんて思いながら、恐る恐る振り返った。
「先生、酷いですね」
そこには、まだギリギリセーフだけど明らかに
笑うのを堪えている先生が立っていた。