「でも委員会が一緒なだけで、そんな心配することないのにね?」
だって私と千堂くんって、知り合い以上友達未満みたいな感じでしょ?
千堂くんのことを好きな人が心配になるような関係性じゃないよ。
それに恋那ちゃんほど可愛い人が気にすることなんて全くないのに。
でもまあ分かるな。
私だって先生がちょっと他の女子生徒と話すだけで、モヤモヤしちゃうもん。
「……そこに意味があるとは考えないタイプなのね、茜は」
「どうかした?」
「ううん、何も」
もう一度恋那ちゃんの方へ視線を移すと、椅子を反対の向きに置いて、何やら一生懸命後ろの席の人に話しかけていた。
あれ、さっきまで泣きそうな雰囲気で、というか、顔を覆って戻っていったのに。
その後ろの席はーー千堂くんだ。
そっか、千堂くんと恋那ちゃんの席って前後なんだ。
なるほどね、だからもうあんな平気そうな顔……。
恐るべき恋のパワー。
でもさ、千堂くん。
本読んで、恋那ちゃんのことガン無視っていうのはどうかと思うな……。