「実は、数学を教えてほしいって思って…あ、いや、迷惑だったらいいんです!」
少し、いやかなり不安で、どこを見たらいいか分からず視線を彷徨わせる。
「迷惑だなんて、思うわけないだろ?」
「……っ、ほんと、ですか?」
だけどそんな視線も眩しいほどの先生の笑顔に囚われて、動けなくなった。
あぁ、好き。
どうしようもなく、好きだ。
先生を見る度に、先生と話す度に、その笑顔が向けられる度に、愛しさが増していく。
……先生がどうしようもなく、欲しくなる。
「俺はいつでも良いけど、阿波。図書委員の当番はーー」
「あ、今週までなんで今日で終わりですっ!」
「んじゃ、時間は…」
「あ、昼休みはやらないといけないことがあって、放課後って先生大丈夫ですか?」
ーー放課後。
その言葉に、よく見てないと見逃してしまいそうなほど、ほんの一瞬だけ先生の表情が曇った。