「外も暗いし、早く帰るぞ」
そんな私に何も言うこともなく、そう告げると職員室へと再び歩き始めた。
やっと少しずつだけど近付けてきたって思てたのに、仲良くなれだしたと思ってたのに、分からなくなる。
近づいた分だけ、突き放された気がする。
私たち、友達にはなれないのかな?
そう思うとどうしようもなく寂しい。
ねえ、千堂くん。
そんな寂しそうな背中で、一体どんな顔をしながら何を考えてるの?
「置いてくぞ、阿波」
暗くて、離れてしまうとどんな顔をしてるのか分からない。
だけど、声は明るくても千堂くんが笑ってないことだけは声で分かった。
「待ってって、暗いんだから置いて行かないで!」
これ以上、彼に無理をさせてはいけないと思って私は、極力明るく努めながら、少しだけ離れた彼のもとへ駆け寄った。