だって、会って、どうするの?

会って、どうしたいっていうの?


そんなことは分からないし、分かったところで、どうしようもない。


だけど、あの日どれほど伸ばしても届かなかった手を、もう一度だけ、君へ。


触れることは出来ないと分かっているけど、それでも桜の中へと消えた律が頭から離れなかった。



その心に触れたかった。

律の考えてることを知りたかった。



私ばっかり守られて助けられて、支えられてたから、少しくらい、律の役にたちたかった。




意味もなくキッチンに向かって冷蔵庫を開ける。

最近発売されたお気に入りのジュースを手にして、口へと流し込めば、妙な甘ったるさが広がった。




「……これって、こんな味だったっけ」

「今更何言ってんだよ。変な茜」

「だよね、あはは」





モヤモヤとした行き場のない感情すら飲み込むように、私は再びジュースを口にした。


だけど、やっぱり、何で好きだったのか分からなかった。