恋那ちゃんに捨てられた先生は想像以上に弱ってた。

だからこさ、慰めてそこにつけ込むような形で信頼を得るのは簡単なことだった。


あまりに律の提案通りにことが進んで、怖いくらいだった。




「まだ、ここにいるだろ?」

「……うん、そうだね」




ーー茜ちゃんから美倉 恋那が千堂くんを略奪した。

二学期の中頃、そんな噂が急激に広まった。


もともと女子受けの悪かった恋那ちゃんは、その一件で更に女子から煙たがられた。


だけど彼女は律が手に入れば、そんなことはどうでも良いようで、全く気にしてないようだった。


手に入れたと言っても、たまに話したり、一緒に帰ったりしてる程度で、ちゃんと付き合ってるのかどうかは外目からは分からなかったし、私も確認することはしなかった。





「……これで本当に良かったのかな…」

「ん?何か言った?」

「え?ううん、何もないよ」





……律は、少しでも幸せになれたのかな?