先生に別れを告げて、学校を出た。

色んなことが片付いたはずなのに足取りは朝よりずっと重たい。


だって、結局重ねた嘘の数が増えただけ。

沢山のことが起きすぎた一日だった…。



だけどバス停が視界に入った時、足が止まった。


どうやら私の長い一日は、まだ終わりそうにない。




「……陽果」




ベンチに座る後ろ姿は、間違いなく彼女だった。

その声に振り返り、目があうと、陽果は顔を歪めた。

そしてそのまま私の方へと走ってきてーー。




「…茜……っ!」




私の胸へと飛び込んできた。

そんな彼女を慌てて抱きとめる。




「何で…帰ってなかったの?」

「帰れるわけがないでしょ、バカ!」





そう言えば今朝の律と陽果の会話はあの計画のことだったんだ。

茜は悪くないっていうあの台詞も、少しでも後に私を襲ってくる罪悪感を軽くするためのものだったんだね。


私はここでも、誰かに守られてたんだね。