嘘ばかりの中のたった一つの本音。
きっと先生には届かないし、気付いてはもらえない。
ただの自己満足だって分かってる。
許されなくてもいいなんて言っておいて、私は本当は楽になりたいって思ってる。
こうやって真実を隠しながらでも謝ることで、少しは許された気になってる。
どこまでも浅はかで、ズルくて、卑怯な人間なんだ。
「良いんだよ、阿波」
声が優しい。
もう私には一生向けられることなんてないと思ってたのに。
「分かったから、ちゃんと全部聞いたから」
違うんだよ、先生。
それは真実なんかじゃないんだよ。
「阿波が全部、悪いわけじゃない……」
ぽんぽんと先生が頭を撫でる。
その手つきに涙が止まらなくなる。
私が悪いの。
全部、全部、私が悪い。
そんなことを分かっていながらも周りにそれを背負わてるなんて、本当に最低でしょ?