「……幸せになんて、なれるわけないじゃん」
もう先生は手に入らない。
自分からチャンスを手放したんだよ。
それに散々周りを苦しめておいて、私だけ幸せになれるわけがないじゃん……っ。
泣いちゃダメ。
そう思うのに律が話すその度に、その声が優しすぎて堪えられない。
「大丈夫だよ。……俺の用意周到さ、舐めんなよ?」
そう言うとテーブルに腰掛けた律。
お行儀悪いよって言おうと思ったけど、私を見てあまりに悲しそうな顔で笑うから言葉にならなかった。
「私はさっきから……律は、幸せなのって、聞いてるじゃん」
何で答えてくれないの?
……それは答えがNOだからでしょ?
「良いんだよ、俺は」
「……よくないよ…っ!」
「だって俺の幸せを優先したら、茜が幸せになれない」