どこにいるかなんて分からないのに、どうしてか彼はあの場所にいる気がした。
もつれそうになる足で必死に走る。
「律……っ!!」
向かったのは、図書室。
勢いよくドアを開けて、乱れる呼吸を整えるよりも先に名前を叫んだ。
鍵が開いていた時点で、絶対にいるって確信した。
それなのに電気すらついていない図書室は、私の声が虚しく響き渡った。
……おかしいな。
「入ってくんな!」
そう思って、一歩足を踏み入れた瞬間、律の声がした。
「……何で、そんなこと言うの」
「俺とお前はもう共犯者でも何でもない。茜は先生のところにーーって、聞いてんのかよ!」
そんな声を無視して、声のする方へ進む。
ごめんね、律。
このまま先生の元へなんて行けないよ。
せめて一度、貴方としっかり向き合わなきゃ無理だよ。