……そうだよね。
私に選択肢なんてないのに、何を迷ってたんだろう。
それに、律が提案したんだよ。
せっかく私のことを思ってそうしてくれてるのに、拒否してどうするの?
「…うん、分かった」
迷う必要も資格すらないのに、ギュッと締め付けられた胸は、さっきの罪悪感が消えないから。
自分が一番楽な道を選んでる気がする。
……でも、ここで気付いた。
これって、律だけは全くメリットがないんじゃない?
私は、また律を傷付けようとしてるんじゃない?
だってこれを提案したのは、私の為だよね……?
だとしたら私はやっぱり、また彼を傷付けてる。
ーー 『茜』
また、彼から笑顔を奪って、苦しめてる。
ねえ…律は、それで良いの?
そう思うと、居ても立っても居られなくなって私は恋那ちゃんを置いて屋上を飛び出した。