「追いかけてくると、思ってた」






飛び出し、彼女の後を追って廊下を走ると、角を曲がったところに腕を組んで立つ、恋那ちゃんがいた。



楽しそうに微笑んで、そう言ってみせた彼女は、もう全く知らない人。

もとから、私が知ってる恋那ちゃんなんて表面的なものに過ぎなかったと思う。



だけど、まさかこんな顔をするなんて…。


今までの彼女の天使のような姿からは全く想像がつかない。




「ねえ、何で…」




だからこそ、知りたいんだ。




「私は、あなたには感謝されるべきだと思うんだけど?」

「……え?」

「だってあなたにチャンスを与えてるんだから」




……チャンス?

あんな形で先生を傷付けることが、私にとって良いことだというの?



大切な人が傷付くのが、私にとっては良いことなの?


ーーなんて。

大切な人を傷付けようと私自身だって思ってたし、実際に傷付けてる。


例え彼女がどんなことを言ったって、私にそれを責める資格なんてない。





「ここじゃ、あれだから…屋上で話さない?」