「嫌い、って…俺たち、付き合ってるんじゃ……」




不安定に揺れる、声。

定まらない、視線。


笑えない、泣けない、怒れない、困ることすら出来ない先生。

だって、何も分からないし、理解できないから。

きっともう、目の前の彼女が誰なのかさえ先生や私には分からない。




「冗談はやめてよね。あんたなんて目的のための手段に過ぎないの。ちょっと利用させてもらっただけ」

「………嘘だ」

「そんな嘘をつく必要が、どこにあるって言うの?第一、私があんたなんかに本気になると思ってたの?」




嫌だ、信じられない。



いや、違う。

……信じたくない、という先生の声。


どうか、嘘であってくれ。


だけど、そんな思いをよそに、恋那ちゃんは言葉を止めない。





「もう、利用価値が無くなったみたいだから、あんたなんて、いらない」