「千堂、くん…」
突然、真上から降ってきた声に二人揃って顔を上げる。
そこには鞄を肩にかけ、少しだけ怒ったような顔をした律が立っていた。
「……っ、」
そんな律を見て、陽果の顔は更に歪んで、泣き出す寸前のこどものような顔になる。
すると、泣き顔なんて見られたくないからだと思う。
パッとすぐに俯いてしまった陽果。
「……千堂くんは、これで良いの?きっと後悔する日が来るよ」
声は小さくてもその言葉には強く、はっきりとした意思のようなものを感じた。
「今更、なに言ってんだよ」
そう言った律の声は、冷ややかだ。
怪訝そうな表情を浮かべ、陽果を見つめてる。
状況がいまいち把握できてない私は、どうしたらいいかが分からない。
「大切な人が傷付くって分かってて、それでも平気なの!?」
突然、叫んだ陽果に、教室に残ってた人たちの視線が一斉に集まる。
陽果のその言葉は真っ直ぐすぎて、まるで自分が言われたかのように苦しくなった。