「指定校推薦を考えてる人だけ残って。じゃあ、後は解散!」
先生のその言葉を合図に一斉に皆が動き出す。
あぁ…ついに終わってしまった。
これから何が起こるのか全く想像出来ないから、不安しかない。
ふと隣から視線を感じて、顔を向けると心配そうな顔をした陽果と目があった。
そらされるのは辛いから、その前に自分から目をそらそう、そう思ったのに。
「茜は、悪くないからね」
「え…?」
「茜は悪くない…茜は悪くない、よ」
まるで、それしか言葉を知らないかのように突然何度も私に「悪くない」と言う陽果。
しかも、その言葉も何度も言うにつれ、声は弱々しく変化していって、ついに彼女の瞳が揺れた。
陽果…?
「ねえ、陽果。どうしたーー」
「おい、あんまり茜を不安がらせるな」