「な、んで…」
静かにドアを開けると、その音に反応して中にいた人物が振り返る。
いつものように窓辺に立っていた先生は私を見るなり、目を見開いて、酷く驚いた顔をした。
「んー、先生に会いに…かな?」
間違いじゃない。
これは、嘘じゃない。
だけど、この言葉の真意は伝わらないから、聞いた瞬間、先生の綺麗な顔が歪んだ。
「夏休みだからって、油断してたらダメだよ?」
以前勉強を教えてもらった時に座った席に座って鞄から携帯を取り出す。
「校内では、使用禁止ーー」
「これ、どうしたら良いかな?」
それを見て教師らしいことを言おうとしたけど、私の言葉と、向けられた携帯の画面を見てその先の言葉は、声にならなかった。
画面に映るのは、しっかりと抱き合う先生と恋那ちゃん。
さすが律だと思う。
誰がどう見たって二人だって分かるほど、バッチリ綺麗に撮ってある。
この写真、どうしようか?
どうするのが、一番良いと思う?