「おい、阿波。お前、今日もサボるつもりか」

「だって、千堂くん。私たち二人しかいないんだよ?」





図書室の机で仕事をすることなく、いつものように大胆にうつ伏せになってる私に、呆れたように声をかける千堂くん。


誰もいないのに仕事しようなんて千堂くん真面目すぎだよ。


見た目は怖くて金髪に近い髪でヤンキー風なのに、何そのギャップ。



千堂くんって話してみると意外と普通じゃん、と気づいてから数日が過ぎ、一週間交代の図書委員も今日で今回の当番を終えようとしていた。




「だからって、阿波……」




あの日から少しずつ会話も増えて今ではすっかり仲良くなれたんじゃないかなー、なんて一方的に思ってる。

会話って言っても仕事をしない私に、千堂くんがめげずに仕事を進めてるだけなんだけどね。



もう、諦めが悪いよ。

何と言われようと、他に誰もいないし、恐らく誰も来ないって分かってるのに真面目に働くわけがないじゃん。


まず、本が好きで図書委員になったわけじゃないし。

……って、それは千堂くんだって一緒じゃん。


はぁー、ほんと真面目だな、千堂くん。