「……ごめんね、茜」
裏庭のベンチ。
座ると陽果は、真っ先にそう言った。
……何で、謝るの?
私は陽果に謝られる理由がない。
だって陽果が理由もなしに私を避けることなんて、ないって分かってるから。
……第一、心当たりはある。
「陽果は何も……」
だけど、彼女は私の言葉に『ううん』と首を横にふる。
「茜のことを一番分かってるのは私だと思ってたの。だけど、違った」
「…そんなことないよ?」
否定するけど、やっぱり彼女は首を横にふる。
ねえ、そんな悲しいこと言わないで?
どうしたら良いんだろう。
中学から一緒なのに、こんな陽果は初めてで、どうしたらいいかが分からない。
私が知ってる陽果なんて、ほんの一部だったんだって痛感させられる。
自分の無力さに腹が立って膝の上で両手をギュッと強く握りしめた。