「ひ、か……っ、どうして…」
その先は言葉にならなかった。
もう、嫌われたと思った。
いや、黒く染まった私のことなんて、いっそのこと嫌ってほしかった。
……なんてのは、強がりで。
だって、振り返ると見えた、白いビニール袋を手に持った彼女が滲んで見える。
私の目に浮かぶのはーー涙。
だって、この涙が答えでしょ?
私の本心でしょ?
私はあなたのことが好きで、大切で、仕方がない。
だから、彼女にだけは本当のことは何も言えなかった。
律には悪いけど、もし手伝うと言ったのが陽果だったら、私は差しのべられた手を掴んでない。
陽果だけは、巻き込めない。
陽果だけは、巻き込みたくなかった。
彼女の笑顔を奪うのが、きっと私はこの世のどんなことよりも辛いって知ってたから。
でも、結局、私は彼女から笑顔を奪ってた。
今だって、私に向ける彼女の笑顔はぎこちない。
だけど、仕方がない。
ううん、構わない。
「一緒にたこ焼き、食べよ?」
「……うん」