「律のバカ…っ」
「あ、おいっ!今はダメだ!」
悔しくて、惨めで。
だけど、それは自分自身が招いたことだって分かってる。
行き場をなくした思いをぶつけるように、律にそう言い放つと、私は彼の言葉を無視して走り出した。
ただ、一人になりたい一心だった。
「ーー阿波?」
そのせいで、そこに誰がいるのか忘れてたんだ。
「せん、せい……」
私は、バカだ。
ほんとに、大バカ。
律が止めたのに。
さっき、恋那ちゃんだけが通ったことを見てたのに、知ってたのに。
私のせいで律を巻き込んでる。
それなのに、私は彼の足を引っ張ってる。
どうしてこんなにも、私はダメなんだろう。
ダメすぎて、バカすぎて、笑える、呆れる。
……もう、嫌だよ。
何もかも、うまくいかない。
だったら…。
「全部、壊してあげるよ先生」
今度こそ、迷いはない。