「えっとー、オレンジ…コーヒー…」
女子たちのところに駆け寄って、ひとつひとつ種類を確認していく。
「…うん、大丈夫!じゃあ、家庭科室の冷蔵庫を借りてるから私、持っていくね!」
「いやいや、茜ちゃんだけじゃ無理でしょ!」
張り切って袋を持とうとしたら、一斉に止められた。
……そうかな?
全種類のジュース1本ずつ以外は既に冷蔵庫の中に入ってるし、私一人でも何とかなるでしょ。
「無理に決まってんだろ。俺が持つから茜はドアの開け閉めでもしろ」
みんなの制止を無視して袋に手をかけようとすると、頭上から冷ややかな声がした。
誰かなんて理解する間もなく、目の前から袋が奪われた。
だけど、こんなことをするのは一人しかいない。
「文句ねーよな?」
そこには、にっこりと笑みを浮かべた千堂くん……じゃなくて、律がいた。
ねーよな?と疑問系のくせに私にはNOという選択肢は無い。