「茜、何か痩せた?疲れてるんじゃない、大丈夫?」
「……え?」
怪訝そうな表情で陽果に言われたのは、先生を傷つけると決めて宣言した日から約一週間後のことだった。
「そ…そうかな?」
思わず視線が、さ迷う。
実際、あの日から何だか眠れなくなって少しずつ体重が落ちはじめていた。
でも多分、普通の人じゃ気付かない、陽果だから気付いた些細なことだろう。
……本当に、彼女には敵わない。
「何かあったなら言ってね。……いつでも、どんな話でも聞くから」
…言えるわけない。
先生が恋那ちゃんと付き合ってるって知って、それを種に脅してるだなんて。
間違いなく、軽蔑される。
「大丈夫だよ、ありがとう」
不審に思われないように、笑顔を作る。
うまく作れてるのかな?
彼女を前にして、作った笑顔なんて通用するのかな?
だけど……こうする以外に道なんて無い気がした。
「そっか…」