「……俺もって、千堂くん」

「お前、まさか自分が矢野のこと好きなのバレてねぇとでも思ってんのか?」




あまりにも冷ややかな声で冷静にそう言われて、頬が一気に熱を持つ。


今さっきの千堂くんはどこに行っちゃったんだって思うほどに目の前の彼は、いつもの彼。

表情なんて無いのに、綺麗すぎて、まるでクローンみたい。





「やっぱり、バレバレだよね……」





いっそのこと、からかわれた方が楽だなんて思う日が来るなんて思わなかった。

大真面目にそんなこと言われる方が恥ずかしいなんて、知らなかった。



どんな顔で千堂くんを見たら良いか分からず、両手で顔を覆って俯く。


ダメだ、恥ずかしすぎる。

今まで、何気なく別にたまたま視界に入ってるだけですよ風を装って準備室に視線を向けてたのに、彼は私が先生を見てたことをお見通しだったんでしょ?


いつから知ってたんだろう。

一年の頃からバレてたら私って千堂くんの中で、ずっと一体どんな奴って思われてたんだろう。


想像するのも恐ろしいよ。