「ここなら、サボっても居場所はバレないよね。だって先生も告げ口したりなんかしないでしょ?」
「あ、あぁ…」
数学準備室について、そう言うと先生は曖昧に返事をした。
笑えるくらいに不安定だな、私…。
敬語だったりタメ口だったり、さっきからコロコロ変わってる。
「ねえ、先生?」
「何だ…?」
「生徒と付き合ってるって、恋那ちゃんと付き合ってるって、バレたら問題になるって自覚ある?」
「……自覚、か…」
無いでしょ。
絶対にあるわけないよね。
あったら、バレないようにもっと警戒してる。
目を伏せ、煮え切らない態度で呟く先生にそんなことを思う。
「第一、先生って生徒のこと、そんな目で見てたんだね」
そんな目で見てほしかったのは他の誰でもない、私のくせに。
「学校にバレないうちに別れた方が良いんじゃない?」
たとえ先生が恋那ちゃんと別れたとしても私にチャンスなんて無いってことはちゃんとん分かってるから、大丈夫だよ。