ーーだけど。
「これは、俺が片付ける」
麻野まで巻き込むわけにはいかない。
あの女のことは俺がどうにかする。
「お前は、いつも通り阿波といろ」
きっと今、阿波を支えてやれるのは麻野だけだから。
苦しくて、辛くて。
必死に足掻いてる阿波を助けてやれるのは麻野だけだから。
……悔しいけど、俺には無理だから。
「でも…っ!」
「授業始まってるから、戻ろーぜ」
納得いかずに言い返そうとする麻野の言葉を遮って、俺は背を向けて教室へと足を進めた。
ごめんな、阿波……。
だけど、これ以上傷つかなくてすむように頑張るから。
" 好き " って感情は本当に厄介だ。
想いとは裏腹にそれぞれの行動が大切な人を傷付けて、捻れていくーー。
──律 Side END──