「それに中学の頃塾が同じだったから知ってるけど……あの女がよくやる手口よ」




まだ信じられない、信じたくないという俺の思いは麻野の言葉によって打ち砕かれた。




「……嘘じゃ、ねぇよな」

「そんな嘘つく必要ないでしょ……っ」





確かに麻野が嘘をつく必要はない。


でも、それじゃ……。

だって、その通りだとしたら、こんなことになったのは……。




「阿波があぁなったのって、ほぼ俺のせいかよ…」

「千堂くんは悪くないでしょ?そこに漬け込む、あの女に問題があるんだから」




確かにそうかもしれない。

だけどこの状況で罪悪感を感じるな、という方が無理があると思う。




「今日の放課後、話せる?対策を考えなきゃいけないでしょ?」





右手でこめかみを押さえながら、困ったように麻野は言った。

確かに、どうにかしなきゃいけない。



阿波を止めるのもそうだし、まず何よりも先に、あの女に確認しなきゃならない。

本当にこれは、あの女の思惑通りに事が進んでいるのか確かめる必要がある。