「恋那を巻き込むな」
……先生はそんなに恋那ちゃんが好きですか?
きっと恋那ちゃんよりも私の方が先に好きになったのに。
私の方がずっと、好きだったのに。
なんて、こんなことしておいて何を思ってるんだろうね私は。
「巻き込むな、ってお願いする態度じゃないですよね?」
迷うな、私。
とことん嫌なやつになるんでしょ?
ダメ、目を見たら。
心を揺さぶられてしまうから。
「巻き込まないでくれ、頼む…」
…頭なんて、さげないで。
恋那ちゃんの為にさげたりなんかしないで。
こんな私なんかのせいで、さげたりしないで。
「それは…先生次第、かな?」
「俺、次第…?」
その時、ちょうど次の授業の始まりを告げるチャイムが鳴った。
「先生は今から授業ですか?」