あぁ、矛盾してる。
自分で言っておいて胸が痛い。
先生、そんな辛そうな顔をしないでなんて思ってしまう。
そんな顔をさせてるのは他の誰でもない私自身だっていうのに。
「頼むから、阿波…」
「頼むから、何ですか?というか、何を頼むんですか?」
やめてください、先生。
そんな、すがるような瞳で私を見ないでください。
決心が、揺らいでしまう。
「恋那ちゃんも大人しそうな顔して、まさか先生と付き合ってるなんてーー」
「やめろ」
余裕があるということを見せようとしたら、先生の冷たい言葉にピシャリと黙らされてしまった。
聞いたことのないほど、低く冷たくて、軽蔑したような声。
いや、ようなじゃなくて本当にされてるんだと思う。
何だか私の方が焦ってきた。
……形勢逆転、かな。
条件的には、どう考えたって私の方が有利なのに、私が先生を好きだというどうしようもない現実が、きっと私を不利にさせてる。