「おい、阿波」


「……なに?千堂(せんどう)くん」


「何じゃないだろ、仕事しろよ」






放課後の図書室。

開放してるというのに、今日も室内には私と、同じクラスで同じ図書委員の千堂 律(りつ)しかいない。



何で図書室はこんなに暇なのかな、ということよりも私は何で千堂くんが図書委員なのかという方がよっぽど謎。



千堂くんとは三年間ずっとクラスが一緒で、三年間ずっと二人で図書委員をしてきた。



私の通う高校は市が経営する、ここら辺ではトップクラスの進学校。

しかし、なのか、そのせいなのか。



勉強にはうるさいが、校則は緩い。

むしろ無いに等しい。犯罪を犯さなきゃOKといった感じだ。


だから千堂くんの髪は限りなく金に近い茶。



白い肌に少しグレーがかった瞳。

薄い唇に高い鼻。


どこか日本人ぽくないというか、人間ぽさがない、なんて失礼なことを私は会った日から密かにずっと思ってる。

もしかしたらハーフなのかもしれないけど、聞いたことがないから真実は定かじゃない。