「え?」
後ろを振り返っても、誰もいなくて...
『...私のために..泣かないで。』
でも、はっきり声が聞こえる。
「...どこにいんの...?」
『...貴方に見えない世界の果て...グスッ...』
鼻を啜る音まで聞こえてくる...
俺、とうとうおかしくなった?
『...お別れッ、言いに..きたの...』
「...嫌だ。」
離れたくない...もう手離したくない...
そんな思いで、声が聞こえる天井を見上げる。
『ありがとう。
...大好き..でした。』
その言葉と、頬に暖かい感触だけ残して。
君は、また消えた...んだと思う。
「...俺こそ、ありがとう...」
そう言うと、あのストラップから
「わんっ!」と聞こえた...気がした。