「わんわんっ」 明らかに中から聞こえる声に、 若干ハズレくじを引いた気になりながら、 段ボールの中を覗く。 「...かわい」 中にいたのは、 真っ黒で潤んだ瞳に薄汚れた黒い毛の柴犬。 無意識の内に抱き上げると... フワフワの毛並み。 ...ではなく、ビッチョビチョのパッサパサ。 「...」 捨て犬...? しばらく犬と見詰めあっているうちに、 大切なことに気付いた。