あれから考えて出た答えは、やっぱり"謝る"しかなくて。俺は枕に顔を埋めながらこのまま死ねたら良いのに、なんて軽々しく思った。死んだらあいつと顔合わせなくてもいいし、気まずくならないし、こんな気持ちになるのもないわけだ。でも自分をこんな気持ちにさせているのも自分で、それならしょうがねえか、と溜息を吐いた。枕に二酸化炭素しかなくなって呼吸が出来なくなる。このままじゃ死んじまうのかな、とぼんやり思った。

「(まあ、そんなわけねーんだけど)」

横向きになって溜息を吐いた。酸素を吸い込むと同時に、額の上を赤い髪が滑る。風呂上りで濡れてた髪と、頭の下に敷いたタオルをそのままに眠気に身を任せた。





「んぁー?」

耳障りな携帯のアラームが夢の世界から俺を引き戻した。なんだよ、もうちっとぐらい寝ててもいいじゃねえか。心の中で悪態つきながら、母からの被害が来ないうちにベッドから降りた。朝からあのカンカンした声聞いてちゃ身がもたねぇ。ひとつ欠伸してボタンを留めて、ぐっとせのびした。今日は、謝らなくては。まだ寝ぼけている頭でもそう理解できた。それぐらい大事なことだと俺は思ってるわけだ。

適当にブラシをかけて玄関を出ると、もう姿を見せている太陽がまぶしく光っていた。少し鬱陶しいとおもったのはいわない。



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