「……水無月くん」
小さな唇が、微かな声で俺の名前を紡ぐ。
その声からは吉倉や友哉を呼んだときの幸せそうな響きは失せていて、痛みをこらえたような切ない響きに満ちていた。
……やっぱり俺の態度、雪岡にとってはキツイのかな……。
「……告白なんかしてごめんね」
「え」
「私に冷たい理由が告白じゃないんだったら、きっと私が告白したときにはもう私のこと嫌いだったんだよね。……こんなに嫌われてるなんて、考えもしてなかったの。
ごめんね……」
そう言った雪岡は、シュンとした様子で俯いた。
雪岡の言葉に、俺は頭が真っ白になって、なにも返すことができない。
なんで、謝る?
悪いのはどう考えても俺だろ!?
……しかも今は吉倉と友哉がいる前なのにこんなことを言うなんて、相当溜めこんでたのか?
いやむしろ友哉以外にここにいるのが、事情を知ってそうな吉倉でよかったと思うべきか。
なんてことを考えていたら、「水無月くん」と低い声で呼ばれる。
そちらを見れば、怖い顔をした吉倉だった。